オレンジフィルターは有効か
「特殊効果」とわりきって使った方がいい


ビデオ撮影をしている人が オレンジ色のフィルターをレンズの前にかぶせて撮影しているのを見かけたことはないだろうか。ビデオハウジングには、オレンジフィルターがアクセサリーとして当たり前のように発売されている。中には、ハウジングに標準装備されていて、レバーで切り替えるものや、まったく外すことができない機種もある。ビデオでは主流(?)となっているオレンジフィルターだが、デジカメでも密かに愛用者が増えているようだ。

デジカメだけでなくデジタルビデオでもちょっと議論になったのが
水中での青かぶりを補正するフィルタ(「オレンジフィルター」と私は呼んでいる)は必要かどうか。
水中は、太陽の光が吸収され、深く行けば行くほど青一色になる。例えばウミウチワは、水中では濃い紫色に見えるが、ライトを当てると鮮やかな赤色に発色する。これがウミウシワの本来の色なのだ。
ライトなしで撮影した場合、水深の浅いところでは、太陽光がまだ届いているので、それなりに色が付いて写るが、10m以上深く潜ると青色モノトーンの画像になってしまう。こういった時に、オレンジフィルターを装着すると、ライトを使っていいるかのように色が付いて写る。

しかし、このオレンジフィルターの話題になると必ず言われるのが、デジカメには「ホワイトバランス」機能が付いていることだ。デジタルビデオにも当然ホワイトバランスの機能は搭載されている。というより、デジタルビデオの機能がデジカメにブレイクダウンしていると言ったほうが正解かもしれない。
オレンジフィルターを使わなくても、同じような色補正はホワイトバランスの調整で可能だ。

ホワイトバランスで色を補正できるのに、わざわざオレンジフィルターを使うのは無駄なことなのだろうか。それとも、オレンジフィルターを使った方が優れているのだろうか

そこで、実験をしてみた
まず、ホワイトバランスを「晴天」に固定 オレンジフィルター無し 自然光で さんご礁を撮影してみた。


(1)フィルター無 ホワイトバランス「晴天」 自然光

水中では、赤や黄色の光が吸収されるので、サンゴが本来の色より青く写ってしまう。
次に、沖縄用 として売られているオレンジフィルターを装着してみた



(2)オレンジフィルター有 ホワイトバランス「晴天」 自然光

サンゴに赤みが出てきたが、バックの海までも赤くなってしまった。これでは海らしい写真とは言えない。
フィルターメーカーの擁護のため補足しておくが、オレンジフィルターの説明書には、水深10mより深いところで使うように書いてある。この撮影は、水深5mぐらいで太陽光の赤色がまだ届いているため、赤くなりすぎる。
次に、オレンジフィルターを付けたまま、海もサンゴもいい色合いに写るよう、ホワイトバランスを調整してみた。使用したオリンパスC-5050は、細かくホワイトバランスを調整できるので、液晶モニタを見ながら、一番いいところを探した。
若干海が紫がかっているが、まあ見られる絵になっている。


(3)オレンジフィルター有 ホワイトバランス「マニュアル調整」 自然光

オレンジフィルターを外して、ホワイトバランスの調整だけで、(3)の画像に近い色合いになるところを探した



(4)オレンジフィルター無 ホワイトバランス「マニュアル調整」 自然光

サンゴに色彩が出ているが、同時に海の色が変わってしまっている。

実は、オレンジフィルターにも何種類か色がある。場所によって海の青さが異なるし、同じ場所でも水深/天候/季節によっても海の青さが変わる。自分が撮影する海の状況によって、オレンジフィルターの色を変えて使わなければ、(2)のような不自然な色に写ってしまう。
海の状況に厳密に合うカラーフィルターを使って撮影しようと思うと、100種類ものフィルターを持って潜ることになるだろう。
実際、Hi-8(アナログ)時代のビデオ撮影では、ゼラチンフィルターを何種類も持って潜ったこともある。これは、通常のダイビングでは現実的なことではないので、結局フィルターを使っていても、さらにホワイトバランスで微調整してやる必要が出てくるのだ。ならば、最初からオレンジフィルター無しで、ホワイトバランスだけで撮影すればいいことになる。

私の考える結論としては、ホワイトバランスもオレンジフィルターも、結局は特殊効果なのだ。
特殊効果なので、どちらを使っても自分の撮影スタイル、目指す画像に適した方を使えばいい。
ただ、オレンジフィルターの不利な点を言うと、レンズの前にフィルターを入れるとその分、レンズ内に入る光が少なくなり画像が暗くなる。結果絞りを開けるか、シャッタースピードを遅くすることになるので、撮影条件が厳しくなる。
また、レンズの前に一枚フィルターのガラスが入ると、太陽を入れた画像では、フレアやゴーストの原因ともなる。


報道系のムービーカメラマン何名かに聞いてみたが、ビデオ撮影でオレンジフィルターは使っていない。逆に、外国のカメラマンは、逆に好んでフィルターを使っているそうだ。外国人の色彩感覚では、オレンジフィルターが必要らしい。
もうひとつ話に出たのは、フィルターを使いたくなるのは、自然光で撮影するから。
いいビデオライトがあれば、鮮やかに色が出るので、フィルターを使う必要はなくなる。
といっても、ビデオ用のHIDライトは50万以上になるが

デジカメでも、フィルターを使うより、外部ストロボを使った方が、好ましい結果になるだろう。
オレンジフィルターを使わず、ホワイトバランスも極端に調整しない方が、背景の海のブルーが鮮やかに写る。主役の被写体はストロボ光が当たれば、その本来の色で発色してくれる。
ストロボの光は 大体5500ケルビンぐらいの色温度に調整されているので、デジカメ側もそれに近いホワイトバランス(例えば「晴天」)にセットした方が、標準的な発色になる。
あとは、撮影者の好みで ホワイトバランスを調整すればいい。

結論として、 ホワイトバランスも、オレンジフィルターも 特殊効果の一つと割り切って使った方がいいのだろう


(5)オレンジフィルター無 ホワイトバランス「晴天」 外部ストロボ使用